育児、今できること。
「あっという間よ、子どもなんてすぐに親から離れていっちゃうんだから。」
職場にいたころに、育児が一段落したお母さん先生によく言われた話だ。
育休を取得するにあたって、「育児がんばれ!」という応援の意味もあってそんなことを言ってくれたに違いない。
自分も「子ども」してきたから、なんとなく言っていることはわかるのだけど、ただあまり実感としては、ない。
今日、偶然手に取って図書館で借りてきた本にこんな話が書いてあった。
そこにある話は、「あっという間よ!」の中に込められた気持ちを表現してるんじゃないかなって、気がした。
(『おそい・はやい・ひくい・たかい』ジャパンマシニスト社 №73 P100〜高野優さんのコーナーより)
”電車の中で向かいに座っていた親子がいた。座るのに飽きた2歳くらいの男の子がぐずりだした。
なだめるだけでは泣きやまないので、困ったお母さんはその子をぎゅっと抱き上げて背中をなでると、
いつしか泣きやみ、膝の上でうとうとし始めた。”
それを見た作者は、こう思う。
”ああ、いいな、抱き上げて泣きやませられるなんて、私にはきっともうできない。”
”娘たちはもう、親の前で涙はこぼさない。部活の試合で負けた時も、姉妹でけんかしたときも、
泣きたい時は自分の部屋へまっすぐに向かうようになった。両手を広げてわたしのもとに走ってくることはない。”
”できることならもう一度、悲しみに暮れる子どもたちをやさしく抱きあげたい。
耳元で懐かしい歌を口ずさみながら、髪を撫でて、温かい体温をいつまでも感じていたい。”
ふっと・・・3人が大きくなったときのことを想う。
「私にはきっともうできない」の「できない」に、「抱きしめてあげられるときは、ただぎゅっと抱きしめてあげればいいのよ。」っていうあたたかいメッセージが伝わってきた。
悩んでるのね、わたし。